檸檬

檸檬 (新潮文庫)
20もの短篇が詰まっているとめまぐるしい世界の展開に頭が付いていかなくて非常に疲れる。主人公が全員肺病、東大生、京都出身ということでほとんど梶井本人だと言ってもいい。生と死の紙一重で織り成されるある種爽やかともいえる世界。主人公と同調してしまってものすごく体力を遣った。読後は絶望感と妙な清清しさに襲われます。少なくとも生きる気力は奪われた。

「課せられているのは永遠の退屈だ。生の幻影は絶望と重なっている」(筧の話)